【DM_vol.6】高いレスポンスを獲得できるクリエイティブの法則(事例付き)

第11回は「すぐに使える! レスポンスアップのDM事例」をテーマにお送りします。通販企業様のCRM施策で「DMにどんな要素を入れるかは分かるが、具体的にどのように落とし込んだらいいか分からない」「自社でもすぐ反映できそうなレスポンス率のいいクリエイティブを知りたい」というご相談を多くいただきます。

今、どんなDMが結果を出せるのか。CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、実際にレスポンス率が上がったDMの事例を交えてご紹介します。

A・Bテストでコントロール版を

A氏:DMのクリエイティブをどのように表現するかによって、開封率・レスポンス率が違ってきます。そのためA・Bテストを繰り返して検証し、自社にとっての最良を見つけていくことが重要です。

S氏:新規獲得の新聞や折込・同梱チラシではA・Bテストを行っても、DMでは行っていない企業が多いように感じます。
本来であれば、DMもA・Bテストを行い、Aが良ければ残して新しいB案とでテストし、そこでB案が良ければ新しいA案とでテストを行う作業を繰り返し、いわゆる“コントロール版”という、もっともレスがとれるクリエイティブを構築していきます。このコントロール版が作れるかどうかは、その後の施策を大きく左右する重要なポイントとなります。

A氏:CRMにおけるDM施策は制作コストに加え、検証のためのリスト母数がある程度は必要で、効果検証までの時間がかかるため、A・Bテストを行う余裕がない企業が多く、ノウハウが蓄積しにくい状況ではありますね。

S氏:そうですね。しかし、その時のコストや時間を抑えるためだけに検証をおろそかにすると、レスの良し悪しの原因が何だったのかが分からないまま次のDMを打つことになってしまいます。特に悪かった場合、企業サイドはもちろん制作側としても、どこをどう改善していくかが非常に難しくなります。
レスの良いクリエイティブでも徐々に数字が落ちて疲弊します。新しいコントロール版を作るために苦労されている企業もたくさんありますので、その時になって慌てないように検証はしっかりと行いたいところです。

A氏:テストができない一発勝負になると、企業も数字がとれない怖さがありますから、思い切ったことがやりにくいという傾向が強いと思います。

S氏:担当者は良いレスを望んではいるものの、自分のところで数字を落とすわけにはいかないため、これまでのDMと同じパターンを繰り返しがちです。そういう場合は、ダメ元でもまったく別のアプローチを提案していますが、いいと思っていただけても採用されないこともあります。
しかし、これでは本末転倒となります。良くなかったDMをベースにしたり、今までの手法にとらわれてしまうのが一番無駄なことではないでしょうか。

A氏:目先のことだけで判断してしまうと、CRM施策の継続に影響が出て、PDCA※が回らなくなります。過去の成功事例も、新しい試みから生み出されていることを忘れてはなりません。
また、今までのセオリーにとらわれ過ぎることのないよう、適宜見直す必要があるでしょう。

現状A・Bテストができない中での対策として、最低でも次に繋がるようなクリエイティブが必要だと思います。クリエイティブに一貫したテーマや軸のようなものがあると、レスの良し悪しの原因を掴みやすくなります。

※PDAC:Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のプロセスを繰り返し、継続的に改善していく手法。


軸のあるクリエイティブとは

A氏:単品リピート、定期促進の場合、なぜ続けなければいけないのかを納得してもらうことや、効果実感を早める情報等を訴求するためのクリエイティブの手法はいくつもあります。

この手法のテーマとなるようなものが軸と考えてください。

S氏:例えば製薬会社であれば、研究員を出して肌のターンオーバーや成分について説明するなど、「製薬会社という信頼感・安心感」を軸に展開することができるでしょう。また、効果実感を早めるための使い方や使用量を伝える場合でも、ただ文章で説明するのではなく、「NGな使い方を具体的に訴求」するという軸からの展開も考えられます。

A氏:あるスキンケア会社では、お客様の使い方がNGというのではなく、スタッフが登場して「自分も最初はこんな間違った使い方をしていた」だからお客様も気をつけてというアプローチをしました。ストレートに訴えるのではない、こういう手法での展開も可能です。

S氏:オファーや商品情報、使い方、お客様の声など、お客様が知りたい情報はどの企業もそう変わらないと思いますので、それをどう印象深く伝えられるかがポイントです。お客様の声や比較写真をメインにしたり、商品情報を記事風にして読ませる形にするなど、さまざまなクリエイティブが考えられます。
お正月だからカルタ風にして商品を紹介するなど、季節に合わせたもので興味を引くというのでもいいでしょう。
もちろん、すべての企業が結果を出せるわけではなく、同様の軸でDMを実施しても、この企業ではレスが良かったが、別の企業ではだめだったということもあります。

A氏:それぞれ企業・ブランドのイメージや商品特徴などを生かしたクリエイティブが考えられますので、一歩踏み込んだ訴求力のあるDMを考えていただきたいと思います。
では、次からは実際にA・Bテストを行ったクリエイティブの中から、すぐに使える事例を紹介していきましょう。小さなことですが、実践することで1人でも多く獲得できる可能性のために参考にしていただきたいと思います。


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高レスポンスDM事例集

【事例01】商品画像で15%改善

あるスキンケア商品で、テストマーケのためスピードを優先し、DMに使用する商品画像は仮撮影したもので実施。その後、展開に至ったクリエイティブをベースに、本撮影したきれいな商品画像に差し替えてA・Bテストを行った。

その結果、本撮影したきれいな商品画像に差し替えた方が15%レスが改善された。その商品は透明の瓶に入ったスキンケア商品だったが、瓶の透明感や陰影をしっかり出して存在感のある商品画像になったことで、商品の価値を上げることができたと考える。

通販の商品は店頭に並ばないためパッケージデザインにそこまでこだわる必要はないが、化粧品の場合はコンセプトや配合成分からなる世界観を演出することが必要であり、その一部として商品の画像の品質が重要であることがこのA・Bテストで明らかになった。

【事例02】ビフォーアフター画像が有効

以前の号でも少し触れたが、ビフォーアフターの画像は新規獲得の広告だけでなく、既存会員向けのDMでも有効的である。

完全な使用前・使用後の比較ではなく、例えば、美白化粧品であれば「シミのある肌」と「シミのない肌」、育毛剤であれば「ボリュームのない髪」と「ボリュームのある髪」といったように、一般的なイメージの比較として画像を掲載することで、薬機法に抵触せずにビフォーアフターに近しい見せ方ができる。

これはA・Bテストではないが、あるスキンケア商品で、表紙から比較画像とお客様のコメントを出し、中面も肌のクローズアップ写真を大きく見せて、何名かのお客様の声とともに掲載した。

初回からレスが良く、少しずつ手は加えているが、1〜2年はこのクリエイティブで成功している。

どの程度の違いがある比較画像にするか、また掲載する人の年齢によっても反応が変わるため、そのDMのターゲットを明確にした上で選定することをおすすめしたい。

【事例03】キャンペーン名でも差が出る

オファー部分の帯によくあるキャンペーン名は、つける側も顧客もそれほど注意を払っていないように感じられるが、よく見受けられる下記3つの名称でテストを実施した。

A:〇〇%OFFキャンペーン
B:全額返金キャンペーン
C:お試し実感キャンペーン

当初は全額戻れば安心なためBの「全額返金キャンペーン」が一番かと予想していたが、実際はCの「お試し実感キャンペーン」が一番レスが良い結果となった。

消費者心理としては、Bの「全額返金のサービス」を受けにきたのではなく、あくまでそれはサービスの保証であり、一番の目的は「効果を実感してなりたい自分になる」こと。それを実現してくれるものをお得に試せること。そうした顧客欲求を満たす要素が「お試し実感キャンペーン」に表現できていたと考えられる。

【事例04】オファーの帯の色にまでこだわる

キャンペーン名に続いてのオファーの帯の色についても下記の3パターンでテストを実施した。

A:青帯に黄色文字
B:緑帯に黄色文字
C:赤帯に黄色文字

Bの「緑帯に黄色文字」が一番レスが良い結果となった。よくWEBのランディングページなどでは緑色の購入ボタンがテッパンだが、DMでも同じような傾向が見られた。

【事例05】注文ハガキで10%改善

DMでは顧客が注文しやすいように、「さまざまな注文チャネルを用意」してあげることがレスポンス率を上げるポイントの一つ。

電話はもちろん、WEBページへ誘導してWEBサイト上で購入できるようにしたり、ハガキやFAXも入れたい。特にハガキは高齢の方をターゲットにしている商品やブランドであれば、ハガキの有無でレス率が20%前後変わる場合があるため、ハガキを入れることをおすすめする。
また、ハガキのキリトリ線もイラストと点線を入れるだけよりも、切込みの加工を入れた方がレス率が約10%改善される実績もあった。

加工を施す分コストもかかるため、コストとのバランスを見ながら実施したい。

【事例06】コミュニケーター画像で10%改善

注文の電話番号のところに、コールセンターのコミュニケーターの画像を「入れる」のと「入れない」ものと比べてレス率が10%前後上がることが分かった。

コールセンターのコミュニケーターの画像が実際になければ、イメージ画像でもよい。電話で注文する時は目に見えない相手と話すため誰でも不安になるが、コミュニケーターの画像があることで、顧客の中で話す相手を事前にイメージすることができ、安心して電話ができ注文できることがレス率改善の要因と考えられる。

すべての商品や、すべてのクリエイティブにこれらのノウハウが当てはまるとは限らないが、成功する確度は上がるし、どこに視点を置いてクリエイティブをブラッシュアップしたら良いかポイントを押さえておくだけでも、PDCA※のスピードが速くなる。ぜひこれを参考にしていただきたい。

※PDAC:Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のプロセスを繰り返し、継続的に改善していく手法。


まとめ

DMにおいてもA・Bテストを行うことで効果検証をしていくことが理想。
できない場合でも、より印象的に伝える「軸があるクリエイティブ」にすることでレスの良し悪しの原因が掴みやすい。
テストで「レスアップが実証されたテクニックを使う」ことで、成功に近づき、PDCAのスピードも早くなる。


プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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