【DM_vol.4】事例で紹介! 開封率の高いDMノウハウお教えします!

第9回は「DMの開封率を高めるクリエイティブ」をテーマにお送りします。通販企業様ではCRM施策において「DMの開封率を高めたい」「DMのレスポンスを伸ばしたい」という課題を抱えていらっしゃると思います。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、事例を交えながらDM作成時に必要なポイントをご紹介します。

CRMにおけるクリエイティブとは

A氏:今回はDMのクリエイティブな部分についてお話していきたいと思います。このクリエイティブというのは、デザインのことだけではありません。開封してもらうために表紙に何を掲載すべきか、開いた中面で興味を抱かせるにはどうすればよいか、それをどのようなビジュアルやコピーで見せるのが効果的なのかなど、誌面全体の組み立て方・表現方法のことを指しています。

S氏:DMに限らず商品同梱物などのCRMツール、その他のSPツールもそうですが、見た目のデザインだけではないんですよね。「興味を抱いて手にとってもらう」「開けて読んでもらう」「理解・納得して購入してもらう」等の目的があって、それを達成させるための表現がクリエイティブです。企業やブランドの世界観を表すことも大事ですが「キレイな誌面ができました」だけでは意味がありません。

A氏:「どこに気をつけてクリエイティブを作ればいいのか」という相談が少なからずあるのですが、これも表面的な見た目だけに捉われているからかもしれません。

S氏:そうですね、目的が達成された誌面かどうかより、キレイに仕上がったことに満足されたり、根拠なく担当者の好き嫌いでデザインを判断されてしまうケースもあります。ほとんどの場合は「ここはこういう目的があってこれを掲載しています」「顧客の属性と購入意欲を高めるため、こういうビジュアルイメージにしています」と理由をご説明すると、納得していただけます。

A氏:クリエイティブをどうするかは、レスポンス率、ひいては利益に大きく関わってきます。しかし、1回ですぐに結果が出ることは稀。最適なクリエイティブが見つかるまでテストを繰り返すことが重要であることを企業側でもしっかり理解していただきたいですね。


最終レスポンス率を高める

A氏:DMの内容やオファーをどうするかは大事なことですが、その前にDMの売上はどのようなプロセス、KPI*1で構成されているか、一度考えていきましょう。

*1:KPIとはKey Performance Indicator(キーパフォーマンスインジケータ)の略で、重要業績評価指標と訳される。KGI(Key Goal Indicator)という最終目標を達成するための具体的な指標。


【DMを送ると・・・】

① 顧客のポストに投函される「ポスト投函率」
 
 住所の不備や引っ越して住所不明などが原因で率が下がります。

②ポストに投函されたDMが顧客の手元に届く「到達率」
   
他の投函物とまぎれたり、そもそも興味がなく捨てられるなどの原因で率が下がります。

③手元に届いたDMを開き読む「開封率」
    
DMを見ても興味が湧かないと率が下がります。

④ DMを見て購入する「購入率(レスポンス率)」
     
見て読んでも必要ではない、買えないと判断されると下がります。


つまり、実際DMのレスポンスは、DM送付⇒「顧客のポスト投函」⇒「手元に到達」⇒「開封」⇒「購入」という4つの壁(プロセス)を踏んで生まれます
しかし、多くの通販企業はDMの送付数に対してどれくらいレスポンスがあったかの1点でしか見ないため、レスポンス率を上げるためのDMの訴求内容とオファー内容にしか意識がいかない傾向があります。

もちろんそれも重要なことですが、そのレスポンスに至るまでにどういう壁があるのかを把握し、それぞれの壁の確率をどう上げるか、または下げないようにするかを意識してDMの制作と実行をしていく必要があります。

レスポンスを上げるために重要なことで、意外と見落としがちなのが開封率です。
一般的にDMの開封率は約80%と言われ、実際の調査でも81.3%が開封すると答えています*2。
しかし、どんなに中身を作りこんでレスポンス率を上げても開封率が低くければ、最終的なレスポンス数は伸びません

*2:当社調べ。40〜50代の女性300人に、化粧品メーカー通販サイトで購入した会社からのDMを開封して内容を確認するかを調査した結果。


【事例】
ある通販スキンケアブランドでは、表紙のみを変えてA・Bテストを行いました。10,000部送付して受注件数はAが150件、Bは240件という結果になりました。

この受注件数の違いの大きな要因は、開封率の差だと考えられます。実際の開封率を測ることはできませんが、表紙違いのテストによって開封率を推し測ることができます。
ですから、レスポンス率を上げるための作り込みは欠かせませんが、同時にいかに手に取ってもらい開けてもらえるDMに仕上げていくかが重要なのです。

では、どのようにクリエイティブを作れば、開封率が上がりやすいのか、いくつか事例を交えてご紹介します。


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開封率アップのポイント

ここからは開封率を上げるための表紙のクリエイティブについて4つのポイントを紹介します。

1. オファーを目立たせる

以下は、オールインワンジェルを1カ月使用した後、DMを受け取ったと想定し、40〜50代の女性300人にアンケート調査を行った結果です。
デザインは同じテイストにし、内容を重視したテストを行いました。
※下記の図は、実際のビジュアルを簡素化してイラストにしたものです。

設問は、3つのDMのうち、もっとも開封してみたいと思ったもの1つを選ぶというものです。

〈A案〉商品、女性のイメージ画像、オファー大
〈B案〉商品、女性のイメージ画像、オファー小
〈C案〉商品、女性のイメージ画像、オファーなし

結果、90%もの人がオファーを一番大きくしたA案を開封してみたいと回答しました。

また、A案と回答した人が、どの部分を見て開封してみたいと思ったかを聞いた結果は下記の通りです。

1位がオファーであることから、DMを開けずともお得に買えることが分かることと、オファーを小さく掲載しているB案よりも、手に取ってどんなキャンペーンなのか内容がすぐ分かるサイズ感で配置することが、開封してもらう上で重要であることが分かります。

ただし、すべてに魅力的なオファーを付けられるわけではないため、その場合は中面を開きたくなる工夫が必要となります。

2. インパクトのある人物写真を使う

通常、商品写真やキャッチコピーなどの文章よりも、目を引くのが人物の写真であり、そのインパクトで興味・関心を引くことも重要です。

スキンケア商品のDMで、お肌のきれいな女性の写真を掲載するパターンもありますが、キレイではあるものの、よく見る画像なので印象としては弱くなります

例えば、シワがうたえる美容液であれば「シワのある肌」と「シワのない肌」と記載し、イメージ写真として使用することで効果を訴求できます。また、実際のお客様のアフターの写真も、リアリティがあるため手に取ってもらいやすいでしょう。

ただ、育毛剤や歯のホワイトニング、口臭ケアなどのネガティブ商品は、家族や周りに知られたくない気持ちがあります。表紙に薄毛や黄ばんだ歯など、お悩みがわかるような写真、コピーは避けましょう。

3. キャンペーン期限を具体的に設定する

【事例】
例えば、キャンペーン期間を「30日間限定」とした場合と、「10月31日まで」とした場合、小さなことですがこうした表現の違いだけでもレスポンス率が変わるケースもあります

50歳以上の女性をターゲットとしたスキンケア通販会社では、「10月31日まで」とした方が15%もレスポンス率がアップしました。人間の心理的にあいまいに「あと〇〇日」よりは、具体的に「〇月〇日まで」といわれた方が強く残るため、開封へのアクションをとってもらいやすくなったと考えられます。

「○○日限定」「あと○○日」ではなく、具体的な「○月○日まで」にするが有効

CRMの中でもステップメールと同様に購入後〇日後に必ず送るツールであれば汎用性が必要なため致し方ありませんが、単独で送るDMについては具体的な期日を入れることをおすすめします。

4. 新規獲得のクリエイティブを踏襲する

【事例】
これは購入回数が少ない新規会員や、長期間リピートしない休眠顧客の掘り起こし施策に有効です。新聞折込みチラシを中心に展開していたあるスキンケアブランドの例をご紹介します。

さまざまなクリエイティブのDMを制作しテストした中で、折込みチラシ表面のクリエイティブをDMの封筒の表面に踏襲したものが一番レスポンス率が高い結果になりました。

考えられる理由は大きく分けて2つあり、1つ目は展開できている広告クリエイティブはそれだけ精査されたものであり、また折込みチラシもDMも一瞬で要る・要らないという判断をされる媒体のため、折込みでヒットしているクリエイティブはDMでも同じ効果を発揮できる力があることです。2つ目は、広告を見て購入した時のクリエイティブはアイデンティティとして顧客の中に残っているため、同じようなクリエイティブのDMが届くと「買ったことがある企業からの案内かな」と手に取り開けてもらえる確率が上がるからだと考えられます。

このように、DMだけでなく他媒体のクリエイティブも含めて、表紙の工夫次第で開封率アップに繋がります。せっかく作りこんだコンテンツを最大限活かすためにも、どうしたら顧客がDMを手に取り開けてもらえるか、その一連のシーンを想像しながら、その顧客になったつもりで全体のクリエイティブを考えることをおすすめします。

DMの開封率を上げることで売上アップさせるために

DM(ダイレクトメール)の開封率を上げることは、売上に大きな影響を与える可能性がありますが、その効果は複数の要因によって異なります。

以下に、DMの開封率が売上に与える影響について説明します。

ターゲット層へのリーチ

DMの開封率を上げることで、より多くのターゲット顧客にリーチすることができます。ターゲット顧客がDMを開封して内容を確認することで、商品やサービスに対する関心や興味を持つ可能性が高まります。開封率が高い場合、広告主のメッセージがより多くの顧客に届くことになります。

認知度アップ

DMを開封して内容を確認することで、広告主のブランドや商品に対する認知度が向上します。顧客がブランドや商品を認識することで、その後の購買意欲やロイヤルティ向上に繋がる可能性があります。

コンバージョン率の向上

DMを開封して内容を理解し、特典や割引を活用する顧客が増えることで、コンバージョン率(購買率)が向上する可能性があります。開封率が高い場合は、DMのコンテンツや特典が顧客のニーズに合致している可能性が高くなります。

顧客ロイヤルティの向上

DMを開封してコンテンツを読むことで、顧客の関心や興味を引くことができます。顧客が興味を持ち、ブランドとの関係を築くことで、長期的な顧客ロイヤルティの向上に繋がる可能性があります。

ただし、開封率のみが売上に直接影響を与えるわけではありません。DMの内容やクオリティ、ターゲティングの精度、送付時期、競合他社の活動など、他の要因も売上に影響を与える重要な要素となります。

総合的なマーケティング戦略を構築し、開封率を上げることと、他の要因を含めた全体的な施策をバランス良く展開することが、売上アップへの成功につながるでしょう。

関連記事:商品同梱チラシ(DM)「アップセルのため」クリエイティブ−定期にグンと引き上げるのコツ

参考:DMの平均開封率の実態とは

一般社団法人日本ダイレクトメール協会の研究開発委員会の調査

家庭に届いたダイレクトメール(DM)の開封率・閲読率を調査した「DMメディア実態調査(2021年:一般社団法人日本ダイレクトメール協会の研究開発委員会)」によれば、DMの開封率・閲読率は全体で67.6%という数字が浮かび上がりました。

さらに、DMが「自分宛」の場合、開封率・閲読率は79.5%に達しました。

これは、宛名のないDMの開封率である37.3%に比べて、42.2%も高いことが示されています。

また、2020年の調査と比較して、DMの開封率は全体的に上昇しており、DMは顧客へのプロモーション施策として効果的であることが示唆されています。

日本政策金融公庫「売り上げアップにつながるチラシ・DM作成術」

日本政策金融公庫が提供している「売上向上のためのチラシ・DM作成術」によれば、広く一般の人々を対象としたダイレクトメール(DM)やチラシの反応率は、通常0.5%から1.0%程度とされています。

企業や扱っている商品・サービス、DMの発送数によってばらつきはあるものの、一般的にはこれほど高い反応を得ることが難しい広告手法の一つと言えるでしょう。

ただし、DMの反応率はあくまで基準であり、本質的なポイントはDMの費用対効果です。したがって、反応率が低くても、実際に売上に寄与する可能性が高いことがあります。

反応率・開封率以外でDM施策のKPIとは

DM(ダイレクトメール)施策の成功を測定するために、反応率や開封率以外にもさまざまなKPIを設定することが重要です。以下は、DM施策のKPIの例になります。

クリック率 (Click-Through Rate, CTR)

クリック率は、DMに含まれるウェブリンクや特定のコール・トゥ・アクション(CTA)ボタンをクリックした顧客の割合を示します。オンラインアクションへの誘導度を測定するのに役立ちます。

購買率 (Conversion Rate)

DMから購入または希望行動(資料請求、無料トライアル申し込みなど)を完了した顧客の割合を示す購買率は、最終的な目的達成の重要な指標です。

アクション率 (Response Rate)

アクション率は、DMに対する顧客の反応の割合を示します。これには購入、問い合わせ、登録、申し込みなどの具体的なアクションが含まれます。

平均注文額

平均注文額は、DMからの購入ごとの平均金額を示します。平均注文額が高ければ、売上と利益が向上する可能性があります。

リピート率 (Repeat Rate)

リピート率は、DMからの購入を繰り返した顧客の割合を示します。リピート購入は顧客ロイヤルティの指標であり、長期的な成功に寄与します。

関連記事:【DM_vol.1】開封率の高いDMでリピート率向上を狙う!

コスト対効果 (Cost-Per-Acquisition, CPA)

CPAは、新しい顧客を獲得するためにかかる平均コストを示します。このKPIを低く保つことは、効果的な広告戦略を確立するのに役立ちます。

顧客生涯価値 (LifeTime Value, LTV)

顧客生涯価値は、一人の顧客がその関係全体で企業にもたらすと考えられる収益を示します。DM施策の顧客獲得が長期的な価値を生むかどうかを評価するのに役立ちます。

アンサーレート (Response Rate)

アンサーレートは、受け取ったDMに対する顧客からのフィードバックや応答率を示します。顧客の意見や要望を理解し、改善点を特定するのに役立ちます。

離脱率 (Churn Rate)

離脱率は、DMの受け取りを中断したり、購入から離れたりした顧客の割合を示します。離脱率が高い場合、顧客ロイヤルティの低下を示す可能性があります。

これらのKPIを巧みに組み合わせて分析することで、ダイレクトメールの成果を鮮明にし、改善点を的確に特定できます。重要なのは、どのKPIが最も影響力を持つかを見極めることであり、これは通販ビジネスの目標達成に密接に関連しています。


まとめ

● DMのクリエイティブとは、誌面全体の組み立て方・表現方法のこと。
● レスポンス率がそこそこでも、開封率を一般的な水準まで上げられれば、最終的なレスポンス数は伸ばせる

表紙のクリエイティブを効果的なものに変えるだけで、開封率がアップする可能性が高い。


プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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