【CRM_vol.3】ブランド訴求力で顧客のハートをつかむ

今回は「ブランド訴求力で顧客のハートをつかむ」をテーマにお送りします。CRMでは一人でも多くの優良顧客を作ることが重要です。顧客の心を自社に繋ぎ止めておくためには何が必要なのか、その解決方法を探ります。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、「顧客の心をつかむCRMの組み立て方 」をご紹介します。

顧客の購買プロセスに変化

端本:多くの化粧品や健康食品の通販企業様では、「新規獲得はうまくできているのにリピート率が上がらない」「商品をシリーズ化しているのに、同シリーズの商品のクロスセルがなかなか成功しない」というお悩みをお持ちです。

S氏:リピート施策を行ってもなかなか結果が出ないというクライアントの声を聞きます。また、化粧品のケースですが、10年以上前に洗顔やクレンジング、オールインワンゲルなどをフロント商品として売り出し、好調だったため、後にシリーズ化してローションやメイクアイテムなどを発売したところが多くありました。
しかし、クロスセルが予想に反し伸び悩み、次第にフロント商品の売れ行きも低迷するという厳しい状況になっています。

A氏:こうした原因のひとつに消費者(顧客)のライフスタイルの変化があります。
インターネットが普及した今、消費者はさまざまな情報、広告、商品、サービスに囲まれて生活をし、その中で気になったものはネットで簡単に比較することができます。

S氏:昔の商品の購入プロセスは、 Attention(アテンション:注意)、Interest(インタレスト:関心)、Desire(デザイア:欲求)、Memory(メモリー:記憶)、Action(アクション:行動)の5つでした。
現在は、Desire(欲求)、Memory(記憶)がなくなり、インターネット特有の4つの購買プロセスが加わっています。


・Search(サーチ)インターネットで検索する

・Comparison(コムパリスン)同様の商品をネットで比較する

・Examination(イグザミネイション)クチコミなどを参考に検討する

・Share(シェア)使用感などをネットで発信・共有する


A氏:比較サイトの利用もここ10年ほどは伸び続けていますから、比較・検討するうちに別の商品に移行されてしまい、リピートに繋がらないことも多いと思います。
競合他社と大きな差別化ができる商品は稀ですし、CRM施策においても自社がやっていることは大体が他社でも同様のことをやっているため、ここでも差別化は難しい。

S氏:リピートを増やし、同じシリーズの商品の売上を伸ばすためには、数多くの商品の中から自社の商品を選んでもらい、商品だけでなく、ブランドも好きになってもらう必要がありますね。


顧客のマインドシェアを高めることが重要

A氏:顧客にとって「その商品が好き」イコール「そのブランドが好き」ということではありません。情報化社会の中で、商品とブランドを選んでもらうためには、顧客の「マインドシェア」を高めることが非常に重要になってきています。


「マインドシェア」とは、顧客の心の中の商品やブランドの占有率のこと。
つまり、お客様にどれくらいの時間、自分たちのブランドに触れ、商品を使用し感じてもらい、また思い起してもらえているかということです。


少し極端な例ですが、私はあるスポーツチームのファンで、毎日スマホでチームの情報をチェックし、試合がある日は勝っているのか、誰がどのように活躍していのか、勝った日は次の日にどんなニュースになっているのか、暇があれば情報に触れています。まさに私にとってこのチームはマインドシェアが高いものであるといえます。

S氏:通販で買ったクレンジングや化粧水、健康サプリのことを、そこまで考える方はいないと思います。肌につける時、サプリを飲む時くらいしか意識しないでしょう。
商品やブランドのことを思い続けてもらうためには、顧客に特別なアプローチが必要になってきますね。


満足を超えた感動でマインドシェアを高める

A氏:マインドシェアを高めるために一番望ましいのは、お客様が購入した商品を使用した際に感動してもらうことです。
その他に、サービスや企画で顧客に「おおっ」と驚く体験をしていただくこと。
ここで重要なのは「満足」だけではなく、「感動」と「驚き」です。

S氏:会員様をご招待する親睦会や、会員様が参加する美肌コンテストのようなものはブランドのファン作りに有効ですが、さらにその上をいくものですね。

A氏:会員サービスやファン作りのイベントなどももちろん良いのですが、顧客満足度を高めることにとどまらず、顧客に提供するものが感動・驚きを呼び、ブランドと商品理解を深め、次の購買行動に結びつくものであり、その感動・驚きが顧客の予想を超えることができればさらに良いでしょう。


企業の高い熱量で継続的に発信

A氏:顧客に感動や驚きを感じてもらいマインドシェアを高めるためには、企業側の一貫した姿勢と努力、熱量が必要となります。
まず、「自社のブランドはこういうコンセプト、世界観がある。だから、こういうことを顧客に伝え、こういうブランドだと思ってほしい」ということが明確でないと、いくら発信しても届かないでしょう。

S氏:確かに企業側の軸がブレてしまうと、ツールごとにビジュアルの世界観が異なったり、表現方法がバラバラで統一感がないケースはあります。これでは顧客は混乱してしまいますね。

A氏:やはりCRMの施策の中で、地道に力強く継続していく努力があってはじめて顧客に感動を与えることができるのではないかと思います。

その最たる例をご紹介しましょう。

事例

「商品名」が認知されている商品vs「ブランド名」も認知されている商品のリピート率とその裏側

コンセプトの異なる二つの化粧品ブランドをもつある通販会社で、それぞれの顧客に対してブランドに対する意識調査を行った。どちらのブランドも新規顧客獲得で前面に出した主力商品があり、売上の大半を占めるが、認識のされ方に大きく違いが出た。


ブランドAは「商品名」で認識され、ブランドBは商品名と合わせて「ブランド名」も認識され、Bの方がリピート率が高いことが分かったのである。
では、なぜブランドBはブランド名も認識されていたかというと、これまでのCRMの中で商品とブランド理解を促進する施策が行われていて、さらに一歩踏み込んだ取り組みがなされていたからだ。


ブランドBの全商品に配合されている成分は、日本各地に出向き農家と直接会って厳選された植物から抽出したもの。しかし、こうした商品はほかにもある。そのため、この特徴や良さをいかに顧客に納得してもらうかを考え、体験型のイベントを開催した。
貸し切りのレストランに顧客だけでなく農家の方も招待し、実際に商品に配合されている植物を使用した料理をプロのシェフが作り、顧客に振る舞うというものだ。

顧客は自分が使っている商品に配合されている成分の植物を食べることで、安全なものであることを確信する。そしてその植物を育てる農家の方と顔を合わせ親近感がわき、植物に対する思いやエピソードを聞き、さらに理解を深める。皆が笑顔で和気あいあいとした雰囲気の中で、美味しい料理を味わう時間が楽しい記憶としてインプットされる。

まさにこの体験が顧客の感動や驚きを生んだのである。

もちろんこの企画は1回で終わらず全国の多くの顧客が参加できるようにエリアを変えながら何回も実施した。この事例は、CRMの中でもリアルイベントという少し特質なものだが、ブランドの世界観やコンセプト、顧客に提供する付加価値を感じてもらえる場を作ったことで、ブランドや商品を感動と驚きと共に五感で感じることで理解が進み、もっと好きになってもらえる活動ができていたと考えられる。

こうしたイベントは簡単にできるものではないが、この通販会社はこの取り組み以前から商品とブランドの世界観を言葉だけでなく、さまざまな表現で発信し続けてきた。
自分たちの商品を理解してほしい、ブランドを理解してほしいという強い想い、努力が感動体験により、リピート率向上につながった例といえるだろう。


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マインドシェアを高めるタイミングとアプローチ

S氏:先ほど、顧客が商品を使用した際に感動してもらうのが望ましいというお話が出ました。

A氏:マインドシェアが上がるタイミングはいくつかありますが、必ず上がるのは商品を使った瞬間と商品が切れるタイミングです。
この時に、コンタクトポイントが確保された状態でないと、顧客が再購入するために必要な情報を発信することはできません。

S氏:発送コストを抑えるために、初回同梱に本品購入や定期購入チラシなど全てを入れるケースが多くありますが、使い始め、途中、使い終わりの前など、その都度顧客が必要なタイミングで届けることが大切ですね。

A氏:商品が届いた時点では、期待感が高くワクワクした気持ち、2週間後には効果が出ているのか心配になるなど、日を追うごとに顧客のマインドは変化していきます。


そのマインドに合わせ、例えば化粧品なら初回同梱に洗面台に置ける「正しい使い方シート」を入れる、2週間後に「2週間ご使用で、これくらい量が減っているのがベストです」、商品がなくなる前3週間後に「ターンオーバーでまだ実感できない方も。60〜90日を目標に続けて」とメルマガやLINE、DM、電話など、適切なチャネルを使い、タイミングよくアプローチすることが理想的です。



カスタマーアプローチマップの作成

上記のように、いつ、なんのために、どのように顧客にアプローチするのかを整理できる
「カスタマーアプローチマップ」を紹介します。

この表を作ることで「いつ」「なんのために」「何をどうすればよいか」を整理することができ、セルごとに反応をみることでPDCA*を明確に回すことが可能になる。

*Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のプロセスを繰り返し、継続的に改善していく手法。

ブランド訴求の戦略の検証も重要

検証はブランド訴求戦略の成功や効果を評価するために非常に重要です。以下の理由から検証が必要とされます。

効果の確認

ブランド訴求戦略の目的は、ブランドの認知度向上や顧客の購買意欲を高めることです。検証により、実際にその目的が達成されたかどうかを確認できます。具体的な指標やKPI(Key Performance Indicator)を設定して、戦略の効果を定量的に評価しましょう。

費用対効果の評価

ブランド訴求には多くのリソースや費用がかかります。検証を通じて、投入したリソースに対する効果がどれだけあったかを評価することができます。費用対効果の評価は、将来の戦略や予算の決定に影響を与える重要な要素です。

順次改善の機会

検証を行うことで、戦略に含まれる要素やアプローチの中で特に効果的だった部分や改善の余地がある部分を特定できます。この情報を活用して、戦略の順次改善を行うことで、より効果的なブランド訴求を実現できます。

競合他社との比較

検証を通じて、競合他社との比較も行えます。自社の戦略が市場でどのような位置にあるのか、他社との差異がどこにあるのかを把握することで、差別化や競合優位性を強化できます。


顧客のフィードバック収集

検証は顧客からのフィードバックを収集する良い機会でもあります。顧客の声を取り入れることで、ブランド訴求戦略の改善や新たなアプローチの検討が可能になります。

継続的な改善と成長

ビジネスは常に変化しています。検証を継続的に行うことで、市場の変化や顧客のニーズに適応し、持続的な成長を実現できるようになります。

検証はブランド訴求戦略の成功と持続的な成長を支える重要なプロセスであり、戦略の実行後に見落とされないようにすることが大切です。


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まとめ

消費者が容易に比較・検討できるネット社会で商品とブランドを選んでもらうためには、顧客の心の中の商品・ブランドの占有率「マインドシェア」を高めることが非常に重要。企業側の強い想いと地道な努力、顧客の状態・心理に合わせてタイミングよくアプローチすることでマインドシェアを高める。


プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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