【DM_vol.5】アンケートから分析! 刺さるDMコンテンツとは!?

第10回は「顧客はDMの何を見ているか? コンテンツ大解剖」をテーマにお送りします。通販企業様ではCRM施策で「DMで訴求したい要素はたくさんあるが、どの要素を入れたらよいのか分からない」「DMのレスポンスを高めるには、どんな情報を発信すればよいのか」というご相談を多くいただきます。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、弊社でアンケート調査を行った結果を交えながら顧客にとって興味の高いコンテンツをご紹介します。

目次

顧客視点で必要な情報を見出す

A氏:前号ではDMの表紙についてお話しましたので、今回は中身について触れたいと思います。この中身、どんなコンテンツをどのように表現するかによって、レスポンスが左右される重要な部分です。

S氏:休眠顧客向け、新規顧客へのリピート促進、継続顧客へのクロスセルなど、ターゲット・目的によって訴求するコンテンツは変わってきますが、最終目標は購入するというアクションです。ですから顧客が「今、自分にはこれが必要なんだ」と思わせるストーリー、つまり顧客を納得させるコンテンツが必要になります。

A氏:そうですね。その顧客が今どんな状況・気持ちなのかを考え、必要としている情報、興味をもって見てくれるであろうという情報を盛り込むべきなのですが、それができていないケースが多いと感じます。

S氏:企業側では商品に自信がありますから、成分の良さや効果、開発秘話など、入れたいコンテンツがたくさんあります。しかし、それはあくまで企業視点であり、顧客視点とは異なります。よく「どのコンテンツを大きく訴求すればいいか分からない」というご相談がありますが、それは企業視点からしか見ていないという場合もあります。

A氏:企業側が伝えたい・推したい情報と、顧客が望む情報は一致しないことがほとんどです。ここがズレてしまうと何度DMを打っても効果が期待できないことになりますので、顧客が必要とする情報を把握・理解した上で、コンテンツを選択していくことが必要になります。


アンケート結果

(1)何が顧客の興味を引くのか

それでは、どんなコンテンツが顧客の興味を引くのかを事例で見てみましょう。

 【事例】
あるスキンケアブランドでオールインワンジェルを1カ月使用した後、DMを受け取ったと想定し、40〜50代の女性300人にアンケート調査を行った結果です。
デザインは同じテイストにし、内容を重視したテストを行いました。下記の図は、実際のビジュアルを簡素化してイラストにしたものです。
※ダイオーミウラ(株)調べ 


まず、A案とB案をみて、どちらの方が興味を持ったか聞いてみたところ、A案:56.3% B案:43.7%とA案の方が評価される結果となりました。


A案が評価された理由は、以下のポイントが考えられます。

①スキンケアの大切なポイントや商品の正しい使い方など、顧客にとってのお役立ち情報が掲載されている

②B案は商品画像と文字のみで構成されているのに対して、A案は人の画像やイラストを入れて、分かりやすく親しみやすい構成になっている

③オファー部分や注目してほしい部分に暖色を使用するなどして、全体的にメリハリのあるデザインになっている


では、両案のDMにおいて具体的な興味ポイントを探ります。A案の方が興味を持つと回答した顧客に、どの部分に興味を持ったのか1位から8位まで選んでもらいました。(回答はそれぞれ1つ。N168)

【A案の1位に選んだ割合】
⑧オファー45% ①継続使用のすすめ17.8% ③正しい使い方16.6% ⑤商品の成分・効果14.2% ②スキンケアの大切なポイント3%  ⑦お客様のお声2.4% ④開発者のコメント0.6%  ⑥No.1エンブレム0.6%

1位は45%の「オファー」で断トツであることから、顧客にとって何がお得に買えるのか、どんな特典がつくのかが重要であることが分かります。これだけ興味を持たれる要素である以上、いかに魅力的な内容とデザイン(見せ方)にするかが大事であることが推測されます。
また、その他の上位の項目についても、顧客に直接有益なお役立ち情報となるものがランクインしています。この結果から、「この商品はこんなにすごいんです」ということを全面に出すよりは、「今、こんな情報があったらお客様は喜んでくれる」という視点に重きを置いて、クリエイティブを構成することが重要であるといえるでしょう。

【B案の1位に選んだ割合】
⑦商品ラインナップ38.9%  ⑥オファー37.4%  ①商品の効果キャッチ9.2%  ②No.1エンブレム4.6%  ③商品画像4.6% ④商品の成分・効果3.8% ⑤お客様のお声1.5%

B案では1位は「商品ラインナップ」となり、他の商品の内容・価格に興味があることが分かりました。僅差であるもののA案で1位だった「オファー」が2位となり、1位は「商品ラインナップ」となりました。どちらにしても、そのDMで何を売っているのか、どれだけお得なのかという内容は、顧客にとって特に興味がある要素であることが明確になりました。
また、A案、B案ともに同じ傾向がみられたのが、お客様のお声が下位にランクインしたことです。顧客の購入判断の参考の一つにはなるかもしれませんが、そこまで興味をもって見てもらえていないことが分かりました。
お客様のお声をたくさん掲載しているDMを目にしますが、この結果から見る限りでは他の要素に割いた方が得策だという考え方もできます。いっぽう、お客様の若々しい顔写真も掲載して大きく扱ったり、商品効果のところにお声を掲載するなど、違う見せ方にすれば上位にランクインする可能性もあるでしょう。

(2)購入する際に参考にする情報とは

次に、どの情報を購入する際の参考にするかについて両案を一緒に見ていきます。A案、B案それぞれを選んだ方に、DMのどの情報を参考に購入するかを聞きました。(複数回答。A案:N169、B案:131)

【A案に興味をもった方】
1位:キャンペーンの割引(20%OFF)63.3%
2位:継続のすすめ(ターンオーバー)53.3%
2位:正しい使い方53.3%
3位:スキンケアの大切なポイント50.3%
3位:商品の成分と効果50.3%
6位:キャンペーンのプレゼント32%
7位:愛用者の声23.7%
8位:開発者のコメント16%

【B案に興味をもった方】
1位:キャンペーンの割引(20%OFF)69.5%
2位:キャンペーンのプレゼント50.4%
3位:商品の成分と効果48.9%
4位:商品ラインナップ47.3%
5位:愛用者の声22.9%

両案で共通して「キャンペーンの割引」が1位となりました。
興味深いのは、「キャンペーンのプレゼント」と回答した割合が両案で大きく差が出たこと。B案はキャンペーンの割引に次ぐ2位で50.4%だったのに対して、A案は32%で6位。

差が出た理由は、B案のクリエイティブ構成は商品の説明と「ラインナップ」+「オファー」という単調な構成の中でプレゼントが目に留まったのに対し、A案は商品の使い方やスキンケアの大切なポイント、継続のすすめなど顧客の役に立つ情報や知識のほうが有益な情報であったと推測されます。つまり、B案は商品情報とキャンペーンの内容に惹かれて購入、A案はその商品の使用を補完する内容も参考にして購入すると考えられます。また、A案は購入前からその内容を理解している状態になるので、その後のリピート率に期待できると予測できます。

(3)何を気にして見ているか

最後に、DMを受け取った時に、どんなところを気にして見ているかを調査しました。(複数回答。N300)
前述した二つのクリエイティブを比較した調査結果と重なる部分もありますが、もう少しDMを俯瞰して見て考えた時に、各要素の優劣は上記のグラフのような結果になることが分かりました。

1位:価格や割引79%
2位:成分や効果67%
3位:プレゼント54.3%


成果を出したDMの事例はこちら!


次のリピートにつながる内容に

A氏:ここまでアンケート結果を見てきましたが、一度商品を購入している方が対象のため、すでに商品に興味がある顧客です。休眠やクロスの場合はまた内容も異なってきますので、あくまで一例であり、参考として捉えていただきたいと思います。

S氏:特にオファー・割引に関しては確かに大事で、割引だから購入するという人も多いでしょう。しかし、それは商品を購入する動機ではあっても「選ぶ要素」にはありません。他社で安売りしていれば、そちらの商品を購入する可能性が高いと考えます。まずは顧客が「この商品いいな」と思うこと、それがなければどんなに安くしても購入には至らないのではないでしょうか。

これはあるオールインワンゲルの新聞折込のケースですが、上質感を全面に出してワンランク上の素肌感をうたったクリエイティブで、特別価格も控えめにしましたが、それでも目標に近いレスがとれました。

A氏:割引だけで買う人は、安くなければ買わない場合が多く、次に繋がりにくい。DMのコンテンツ・構成を考える際には、顧客が商品を理解した上で購入し、その後のリピートに繋がるかどうかも見据えることで、コストパフォーマンスの高いDM作ることが可能となります。

S氏:そうですね。また、毎回オファーをつけられるとは限りませんから、表紙も含めて中面で購入を喚起できるコンテンツが必要となります。そして、そのコンテンツをいかに魅力的に見せるか、読みたくなる、商品を購入したくなるような構成・デザインが求められますので、CRMのノウハウのある会社を選ぶことをおすすめします。


アンケート分析以外にも大切なDM施策の効果測定の基礎【おさらい】

DM(ダイレクトメール)施策の効果測定は、マーケティングキャンペーンの成功を評価し、改善点を特定するために非常に重要です。以下はDM施策の効果測定の基礎に関するポイントです。

目標設定

効果測定の前に、キャンペーンの具体的な目標を設定します。たとえば、売上の増加、新規顧客の獲得、リピート購入率の向上などです。目標を明確にすることで、測定の方向性が定まります。

キャンペーントラッキング

キャンペーンに関連するデータをトラッキングします。これには、送付したダイレクトメールの数、リンクをクリックした人数、クーポンコードの利用状況、特定の電話番号への問い合わせ数などが含まれます。

レスポンス率の計算

ダイレクトメールに対するレスポンス率は、送信数に対する反応数を示す重要な指標です。レスポンス率は、以下の式で計算できます。

レスポンス率 = (反応数 / 送信数) × 100

関連記事:【DM_vol.2】顧客セグメントDMでレスポンス率アップ!

収益の追跡

キャンペーンから生じた収益を追跡します。これには、ダイレクトメールからの売上、新規顧客からの収益、クロスセルやアップセルからの収益などが含まれます。

ROI(投資対効果)の計算

ROIは、キャンペーンにかかる費用とキャンペーンからの収益との比率を示す指標です。ROIは以下の式で計算できます。

ROI = (収益 – 費用) / 費用 × 100

A/Bテスト

キャンペーンの異なる要素(例: タイトル、デザイン、コールトゥアクションなど)を比較するA/Bテストを実施します。これにより、最も効果的な要素を特定し、将来のキャンペーンに活用します。

長期的な効果の測定

キャンペーンの効果を即時の反応だけでなく、長期的な影響にも注意を払います。顧客のリピート購入や長期的な忠誠度向上などを追跡しましょう。

顧客フィードバック

顧客からのフィードバックを収集し、キャンペーンの評価に活用します。不満や提案を受けて改善を行うことが重要です。

DM施策の効果測定は、キャンペーンの最適化と収益の最大化に向けた重要なステップです。効果測定によって、次回のキャンペーンに向けた戦略的な意思決定が可能となります。

効果のないDMの特徴とは

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴として次の点が挙げられます。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴①ターゲットが不明確

会員全員に向けたDMを設計・送付するとした場合、そのクリエイティブは、万人向けのよく見る表現に陥る可能性が大きく、のDMが特定の対象顧客そのクリエイティンブに向けられていない場合、受け取ったる顧客も他に大量に送っていることが容易に想像できて、内容を自分ゴト化することが向けの関心を引きつけることがのは難しいくなってしまうでしょうです。

適切なターゲットセグメントを定義し、それに合ったDMを送ることが重要です。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴②情報価値提供過不足

DMが顧客にとって価値のある情報や提案を含んでいないか、逆に情報が多すぎる場合、受け取る顧客は、無視するか、興味を示さない可能性が高まります。受け取る側の利益を考慮してコンテンツやオファーを設計しましょう。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴③魅力的なデザインの不在

DMにとって、のデザインは命です。それは、綺麗である、上手であるだけではなく、メッセージが伝わる仕掛けになっているデザインであるかどうかです。もっとよく見たい、読みたいと思わせることでが魅力的でない読みたい場合、開封率や購読読まれる率がアップ低下します。視覚的に魅力的なDMのデザインとは、顧客にとって、伝わるメッセージであるかが前提です。で興味を引く顧客デザインを採用し、DMを目立たせましょう。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴④訴求力の不足

DMのコピー(文章)が魅力的でない場合、顧客を引き込むことが難しいです。コピーは簡潔かつ効果的に商品やサービスの利点や価値を伝える必要があります。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴⑤コール・トゥ・アクションの不明確

申し込みのための、メールアドレスやウェブサイトアドレス、電話番号などを大きく

DMには明確なコール・トゥ・アクション(行動を促す要求)が含まれているべきです。顧客に次のステップを明確に示し、それに応じた反応を促します。

また、QRコードを置くことで、スマホでクイックアクセスしてもらうきっかけとなります。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴⑥リサーチとテスト不足

DMの効果を向上させるために、テストとリサーチが欠けている場合、最適なアプローチを見つけるのが難しいです。A//Bテストや市場調査を実施し、最良の戦略を特定しましょう。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴⑦フォローアップ不足

DMを送った後、フォローアップが不十分な場合、受け取った顧客が反応しない可能性が高まります。受け取り後のコミュニケーションプランを策定し、顧客との対話を続けましょう。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴⑧データの正確性不足

顧客情報が正確でない場合、DMは届かないか、誤った住所に送付される可能性があります。データの品質管理を行い、アクセスできる最新の情報を使用しましょう。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴⑨競合他社との差別化不足

DMが他社との差別化要素を持たない場合、受け取る顧客は何が特別なのかを理解しにくくなります。自社の独自性や価値を強調しましょう。

効果のないDM(ダイレクトメール)の特徴⑩反応率の追跡不足

DMの反応率を追跡していない場合、施策の効果を評価できず、改善の余地を見逃す可能性があります。反応率の追跡と分析を行い、施策の最適化に活かしましょう。

効果的なDMを作成するには、ターゲットの理解、価値提供、デザイン、コピー、コール・トゥ・アクション、テスト、フォローアップ、データ管理、差別化、反応率の追跡など、多くの要素を考慮する必要があります。

関連記事:【DM_vol.3】高レスポンスDMに必要な企画と実践とは!?

まとめ

休眠、継続、優良と顧客セグメント・目的によってDMのコンテンツは変わってくるが、企業視点ではなく顧客視点で「顧客が必要とする情報」を考えることは必須。アンケート結果は参考として、同じコンテンツでも見せ方の工夫などで顧客の興味を引くことが可能になる。


プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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