【商品同梱_vol.6】CRMにブランディングが重要な理由
第17回は「CRMにブランディングが重要な理由」をテーマにお送りします。通販企業様から、「コロナ禍で業績が不振」「景気低迷もあり、新規獲得、継続率が上がらない」というご相談を多数いただきます。
長引くコロナ禍や不景気の時代に勝ち抜き、収益を高めるにはどうすればいいのか。CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、CRMにおけるブランディング戦略をご紹介します。
目次
今なぜ通販にブランディングが必要なのか
S氏:消費者実感として景気が回復しないままコロナの感染拡大が続き、経済は大きな打撃を受けています。集客のための広告費やCRMにかかるコストを削減せざるを得なくなり、売上減という通販企業も少なくありません。
A氏:こうした状況下で効果的なCRM戦略の一つがブランディングです。ブランディングは効果発生までの時間と手間、コストはかかるものの、上手く運用できれば広告以上の効果が得られる可能性があります。
S氏:経済などの影響を受けにくい企業の基盤を作るということですね。ブランディングを行うことで根強いファンが獲得できます。
最近ではSDGsに取り組む企業が増え、積極的に社外にアピールする傾向も見られます。しかし、経営が厳しい中、通販にブランディングが必要なのかと疑問に思う企業も多く、また必要だと感じても時間やコストがかかるので後回しになってしまうことが多いのではないでしょうか。
A氏:やはりダイレクトマーケティングでは、目先のレスポンスアップや継続に繋がる施策を優先させてしまいがちです。また、ブランディングとは何をすればいいのか、範囲が広くどこから着手していいか分からないという声もよく聞きます。
そこで、今回はブランディングとは何か、通販事業でなぜブランディングが重要なのかを解説していきたいと思います。
通販におけるブランディングとは
A氏:ブランディングはいろんな解釈がありますが、企業やブランド、商品に対するイメージを定着させる活動の総称を指します。ブランドイメージは発信するコンセプトをはじめ、商品パッケージやロゴ、広告、CRMなどで使用されるビジュアルなどによって構築され、さらに顧客が体験し、感動することが重なることで形成されます。
例えば、当ブログ15号でも紹介した、植物成分をうたったブランドがイベントを開催し、そこで実際に商品に配合されている植物を使用した料理を顧客にふるまうといったことです。
S氏:つまり、ブランド価値や商品価値を多角的なアプローチにより高めていくことで、市場価値を上げることがブランディングというわけですね。
A氏:そうですね。ブランディングをどうするか、根底がないまま商品主軸でCRMを進めていると、途中でブランディングの重要性に気づいたとしても軌道修正するのが大変になります。
S氏:ブランディングについて企業側での共通認識がとれていないケースもよく見られます。
企業の担当者の考え次第で、ビジュアルや訴求内容などの方向性が左にも右にもずれて、同梱物がいろいろなイメージになってしまい統一が取れていないため、顧客に一貫したイメージを伝えることができなくなります。
A氏:LPもブランディングによってイメージを合わせた方が良いでしょう。
新規獲得向けのLPは訴求やインパクトを強めたものが多いですが、ただ押しが強いだけの広告が勝つ時代は終わりに向かっています。消費者もそんな広告にはうんざりしているのではないでしょうか。
A氏:また、競合他社のことも考えなくてはなりません。例えば、化粧品では無添加・自然素材やドクターズコスメなどをUSP*にした企業が複数あります。それぞれがブランディングした場合、どこで差別化を図るかが非常に重要になってきます。
何を、どうメッセージすれば独自性が生まれるのか、消費者や顧客から「無添加・自然素材といえばこのブランドだ」と認識・選択してもらえるのかを考える必要があります。
ブルーオーシャンばかりではありませんが、この点を根気強く考え、実施していくことで後の大きな強みになるはずです。
*USP:Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)の略で、商品やサービスが持っている独自の強みのことを指す。
通販のブランディングで得られるメリット
ブランディングで得られるメリットとしては下記4点が挙げられます。
1. メッセージの一貫性による継続率向上
一貫して同じキーワードを繰り返し使用することで、顧客に特定のイメージを刷り込むことができ、結果的に継続率向上に繋がる。
2. ロイヤリティー向上による顧客のファン化
顧客のブランドへの愛着・信頼が増すことによってファンになる。
3. 価格競争からの脱却による収益性向上
ブランド価値により価格の値引きなどに左右されない安定した収益が見込める。
4. 認知度アップによる新規顧客獲得の効率化
ブランドイメージと併せて認知を高めることにより、消費者がある特定のカテゴリにおいて商品を探しやすくなる。
では、次からは具体的なブランディングの手順をご紹介しましょう。
ブランディングの4つの手順
単にブランディングといっても、具体的に何をすることがブランディングなのか分からないという企業も多いのではないでしょうか。諸説ありますが、おおまかには以下の流れになります。
1.ペルソナと価値の設定
ペルソナを設定し、そのペルソナがどういう価値を求めているのかを想像する。
2.全体の戦略を明確にする
ペルソナにとって、どういうアプローチが効果的なのか戦略を考える。そのうえでどんな広告が必要になってくるのか、どういうタイミングで打ち出していくのかを決める。
3.1と2を軸に訴求を考えコンテンツを制作する
ペルソナと戦略に即した訴求や、コンテンツをテキストで書き起こしていく。
4.広告、ツールのデザインやビジュアルを統一して制作する
媒体ごとにデザインやビジュアルがぶれたりしないようにする。あらかじめ企業側ですり合わせを行い、制作を進める。
上記の流れの中で①の価値設定について説明します。
例えば、ブランド名を覚えてもらうなど認知度を高めるための活動はブランディングの一つですが、気をつけなくてはいけない点は、そのブランドが「消費者や顧客にどんなイメージと一緒に認知され記憶されているか」ということです。
認知を高めることだけがブランディングではありません。特定のイメージと一緒に認知を高める = ブランディングなのです。
通販においては特に「今売り込みたい機能」を伝えることが優先され、「ブランド本来のイメージ」を強化するという視点が欠けてしまうことが多いように思います。
では、なぜブランドイメージを強化する必要があるのかを説明します。
例えば、それぞれ異なる機能をもつ3つのスキンケア商品を順番にリリースするブランドAとBがあったとして、消費者や顧客が記憶してくれるのはどちらのブランドでしょうか。
【ブランドA】
訴求内容:機能だけ
商品①:美白
商品②:アンチエイジング
商品③:しわ改善
【ブランドB】
訴求内容:機能+何か
商品①:美白+自然派
商品②:アンチエイジング+自然派
商品③:しわ改善+自然派
ブランドBの方が「自然派」というイメージが消費者や顧客に刷り込まれ、記憶に残ると思います。
つまり、一貫性をもって同じキーワードを繰り返し使用することで、「自然派」のイメージがブランドと結びつき、その結果、自然派のスキンケアといえば「ブランドB」というブランディングに繋がるのです。
消費者や顧客が自然派スキンケアを使ってみたいと思った時に、真っ先に「ブランドB」が浮かぶ、「このブランドを使い続けていれば自分の求めている自然派スキンケアが手に入る」と刷り込めれば、売上増、継続率アップに役立ちます。また他社商品との差別化にも有効です。
特定のイメージを育てることは、中長期的にマーケティングの費用対効果を高められるのはもちろん、消費者や顧客がある特定のカテゴリで商品を探すうえでも大きな効果を発揮します。
まとめ
●CRMの継続率向上にはブランディングが有効。
●ブランド認知を高めるだけでなく、特定のイメージと一緒にブランド名を記憶させることが重要。
●ブランドの特徴を表すキーワードを用いたメッセージやイメージを開発し、継続的にマーケティング施策に組み込む。
プロフィール
A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。
S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。
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