【CRM_vol.1】CRMの効果を高めるチャネルミックス

今回は「チャネルミックス」をテーマにお送りします。すでに実践されている化粧品や健康食品の通販企業様も多い中、いくつか課題もあがっています。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、
チャネルミックスでCRMを成功に導くポイントを、活用例や事例を交えながらご紹介します。

目次

メルマガでリピート購入につながらない

端本:2020年からのコロナ禍で消費が大幅に落ち込む一方、外出自粛などでネットショッピング利用が高まっているといわれています。ネット利用者が増えることで、CRMのWEB施策はますます重要になってきます。

S氏:ネットショッピング利用世帯の割合の推移を見ると、2019年に頭打ちでしたが、緊急事態宣言が発出された2020年4月からは伸びています。45〜54歳は70%近く、55歳〜64歳は50%、65歳以上はまだ低いものの約30%まで上がっています。

A氏:ネット利用者は今後も増えると予想され、これまでネット利用しなかった55歳以上を獲得するチャンスが広がるでしょう。しかし、そこで新規獲得できたとしても、その後が問題です。コロナ以前から、LPで新規獲得した顧客に、メルマガでリピート促進しているが効果が出ないという企業が多いのです。

S氏:今は消費者のネットリテラシーも高く、あらゆるところから情報が送られてくる時代。

メルマガは制作コストが抑えられ、多くの顧客に送ることができる便利なツールですが、開封されないまま一瞬で削除されてしまう可能性が高く、非常にシビアな面があります。

紙媒体も捨てられることもありますが一度は手にとってもらえ、ツールの種類によっては確実に見てもらえます。とはいえ、メルマガはリピート販促に欠かせないツールです。


WEBで獲得したお客様にはWEBでCRMした方が効率的!

初回購入から2回目までに何回メルマガを打ちましょう!

だいたい〇日後と、〇日後と、〇日後に打つのがテッパン!

内容は、商品の特徴や使い方などの基本情報から、後半にはお客様の成功体験や小さな効果の気づきをさせてあげましょう! 

などなど・・これ、すべて正解です! しかし、8割に届いていない!?


8割に届かない!? メルマガのメリット・デメリット

メルマガの開封率は20%未満*!*Benchmark調査より引用。

つまり、どんなに考えて素晴らしいメルマガを作り送っても、約80%の人には届けたい情報が届いていないのです。


CRMは
1. より多くの顧客に
2. 見てほしいタイミングで
3. その時に顧客が必要としている情報を
4. 顧客が見やすい状態で発信することが大切です。


メルマガを含むWEBでのアプロ―チは、「2. 見てほしいタイミング」に「3. その時に顧客が必要としている情報」を届けるのには長けています。

一方、開封率の低さから「1. より多くの顧客に届けること」と、パソコンやスマホでは画面の制約があり、「4. 顧客が見やすい状態で発信すること」に弱点があります。

S氏:「顧客が見やすい状態」というのは、顧客が欲するさまざまな情報をストレスなく、連続して見せるということですね。紙ではそれが可能でも、スマホは縦スクロールが基本ですし、他の情報が知りたい場合はタップして別ページにいかないと辿り着けない。
こうしたWEB独自の得意・不得意をきちんと把握した上で、不得意な部分を他の媒体でカバーしなければなりません。


チャネルミックスは俯瞰でコントロール

A氏:そこで、CRMの手法として注目されているのが「チャネルミックス」です。

S氏:よくいわれる「メディアミックス」とは少し違いますね。

A氏:「メディアミックス」はテレビや雑誌、WEB、交通広告など複数のメディアで同時期に宣伝し露出を増やすことで広告効果を高めます。「チャネルミックス」は顧客への直接的なアプローチの手法(チャネル)=チラシやDM、電話、店舗など複数組み合わせて、購買を喚起する活動を指します。


各チャネルの役割

【メルマガ】その時顧客が必要としている情報、企業が届けたい情報を発信。

【チャットポット】顧客の状況に応じたディテール情報を発信。

【チラシ、会報誌】自由度の高い形状、構成で顧客が見やすい状態で情報を発信。

【DM】広告では表現しづらい効果に関する情報など、踏み込んだコンテンツで訴求。

【サンプル】商品サンプルで実際に良さを体験してもらう

【店舗】店舗の世界観を伝え、スタッフによる接客で好印象をつくる。

【電話】品質の高い応対で、情報案内や顧客の声を吸い上げる。


S氏:メルマガ、SNS、会報誌、DM、電話など、すでにチャネルミックスを実践されている通販企業も多いですが、ただ、それぞれが単発で、うまく連携されていない印象があります。WEBと紙媒体の担当部署が分かれていて、別々に動いている企業もあります。また、新規も既存顧客も同じ施策になっているところも多いです。

A氏:複数のチャネルを使いますから、計画を立て連携していかないと効果が出ません。顧客の特性や年代に合わせて、媒体や打つタイミングを決めていく統括者が必要。
全体を俯瞰で見て、コントロールしていくことも重要です。


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紙媒体の特性を最大限活用し、組み合わせる

A氏:これだけ電子化が進んでも、新聞や雑誌、チラシ、カタログなどの紙媒体はいまだに私たちの生活の身近にあり、活用されています。それはなぜか。WEBにはない紙媒体の特性や役割があるからです。その特性と活用法、事例をご紹介します。

【1】商品同梱チラシ+WEB

発送する商品と一緒に同梱する「商品同梱チラシ」は、ほぼ100%の到達率
購入した商品を手にして一番気持ちが昂るタイミングで、一緒に見てもらえるのも強みです。
チラシは表と裏の2面のみで情報を伝えやすい構成が可能です。PCやスマホの画面をスクロールしたり、違うページに移動させたり、冊子のようにページをめくる必要もないため、手に取ってもらいやすく、かつしっかり見てもらいやすいツールになります。定期便やキャンペーンなど、次の購入を促す重要な内容については、単独でチラシにするのがよいでしょう。
掲載できる情報量は冊子などに比べると少ないため、チラシで興味喚起してから掲載したQRコードなどでWEBに誘導して、サイトや動画で補足することができます。これがメルマガの開封率の壁を突破するチャネルミックスの方法の一つです

【2】商品・発送箱+WEB(AR)

商品同梱チラシと同じタイミングでアプローチできる、もう一つの手法に「発送箱(商品の箱含む)」があります。
挨拶や使い方、商品に関連する豆知識、使用ごとにチェックできるカレンダーなど多様な使い方が可能です。チラシと同様に展開できる面積が少ない分、WEBと連動させる事例もありますが、その一つにAR*とミックスさせる手法があります。
主に使い方や使用量を正確に伝える必要がある化粧品で、スマホを商品にかざすと、商品を適量手にとるシーンから実際に使っているシーンを動画が自動で流れる仕組みです。直接的な購買喚起ではありませんが、正確に使用してもらうことで、商品余りを未然に防いだり、実感値を高めることで着実にリピートにつなげる施策となります。


*AR:Augmented Realityの略。拡張現実。現実空間の映像に、デジタル情報を重ねて表示する技術

【3】DM+電話

はがきやチラシを単独で送付するDM(ダイレクトメール)も有効です。
自宅のポストを必ず見て手に取ってもらえるので到達率は100%になりますし、DMの内容やデザイン次第で開封率もかなり高くなります。DMの場合、印刷コストの他に発送費がかかるため、敬遠されがちですが、対リストのレスポンス率が高いため、結果的に開封率の壁があるメルマガよりも収益やLTVを上げることができます。DMには多様な形状や送付方法があり、それによってコストや顧客の反応が大きく変わってきます。ここについては3回目以降にお話ししていきたいと思います。
例えば、DMを送る前にメールで予告し、届いた頃に「ご覧いただけましたでしょうか」とフォローコールで接触機会を創出して、チャネルミックスするのもよいでしょう。

【4】サンプル+ブース

また、使ってみないと分からないアイテムや、使ってもらえたら実感値が高いアイテムがあれば、サンプルを商品同梱やDMで送ったり、期間限定でブースを出展し、そこで実際に体験してもらう機会を作るのもよいと思います。新規顧客獲得の施策に思われがちですが、会員様限定のブース来店特典を付ければ顧客を誘引することができますし、メールや電話でしか接触できなかった顧客と直接対面でコミュニケーションをとることで、その会社やブランドがより身近にものになります。
今はコロナで対面が難しい面もありますが、この顧客体験の創出も、継続率そしてLTVを高める要素の一つになっています。

CRMの効果を最大化する

青汁など主に健康食品を扱う通販会社では、初回のみ商品説明の冊子やチラシなどを入れて、あとはメルマガのみでCRMを展開されていましたが、リピート時の単価が低く、投資回収期間が長いという課題がありました。
対策として2回目以降の同梱ツールを導入し、飲む以外の青汁の活用レシピや青汁と一緒に摂取することで体の悩みに期待できる別商材の特集を組み込むことで、アップセルやクロスセルを試みました。それと併せてフォローコールを行い、1カ月飲んでみた感想やお困りごとをお伺いすると共に、その同梱ツールの内容の紹介を行いました。その結果、3回目以降のリピート率とリピート単価が20%近く上がり、投資回収期間が早くなりました


CRM施策におけるチャネルミックス戦略の注意点

CRM施策におけるチャネルミックス戦略を考える際には、いくつかの注意点があります。以下にそのポイントを詳しく説明します。

チャネルミックス戦略を考える注意点①顧客のニーズと行動の理解

チャネルミックス戦略を策定する前に、顧客のニーズと行動を十分に理解することが重要です。各チャネルが顧客にとってどれだけ有益なのか、どの情報をどのチャネルで受けたいかを把握しましょう。

チャネルミックス戦略を考える注意点②チャネルの特性の理解

異なるチャネルはそれぞれ異なる特性を持っています。オンライン、メール、ソーシャルメディアなど、各チャネルの強みと弱みを理解し、適切なメッセージとアプローチを選定しましょう。

チャネルミックス戦略を考える注意点③シームレスな体験の提供

顧客が複数のチャネルを利用する際に、情報やアクションがシームレスに連携する体験を提供することが大切です。異なるチャネル間で一貫性のある体験を実現しましょう。

チャネルミックス戦略を考える注意点④パーソナライズとターゲティング

各顧客に合わせたメッセージやアプローチを提供するために、顧客の属性や購買履歴を活用しましょう。パーソナライズされたコミュニケーションを通じて、顧客との関係を深めます。

チャネルミックス戦略を考える注意点⑤適切なタイミング

各チャネルの特性に合わせて、コミュニケーションのタイミングを選定しましょう。顧客が最も関心を持ちやすい時間帯やタイミングに合わせて情報を提供することが効果的です。

チャネルミックス戦略を考える注意点⑥データと分析の活用

チャネルミックス戦略の効果を評価するためには、データと分析を活用しましょう。各チャネルの成果を把握し、施策を最適化するための情報を得ることが重要です。

チャネルミックス戦略を考える注意点⑦コンシステントなブランドイメージ

異なるチャネルを通じたコミュニケーションでも、ブランドの統一性を保つことが大切です。メッセージやデザインの一貫性を確保し、顧客に安定感を提供しましょう。

*コンシステントなブランドイメージ:企業や製品、サービスなどが顧客に向けて伝えるメッセージや印象が、異なるチャネルやコンテキストにおいて一貫している状態を指す。コンシステントなブランドイメージの構築によって、顧客に安定感や信頼感を提供するだけでなく、ブランドの認知度向上や忠誠度向上にも寄与する。

チャネルミックス戦略を考える注意点⑧適切なバランス

チャネルミックス戦略では、各チャネルの使用バランスを適切に考慮することが重要です。偏りなく、顧客の行動とニーズに合わせてチャネルを組み合わせることがポイントです。

チャネルミックス戦略の成功には、顧客の視点に立ちつつ、チャネルの特性やデータを活用した戦略の構築が不可欠です。継続的なモニタリングと最適化を行いながら、顧客との関係を深めていくことが重要です。

関連記事:【CRM_vol.4】CRMで利益をだすポイントとは?!

チャネルミックス戦略の立案するための顧客セグメント分析の重要性

チャネルミックス戦略を立案する際に顧客セグメント分析を行うことは非常に重要です。以下にその重要性を詳しく解説します。

顧客の異なるニーズの理解

顧客セグメント分析により、異なる顧客グループのニーズや嗜好を理解することができます。これにより、それぞれのセグメントに適したチャネルミックス戦略を立案することが可能となります。

効果的なコミュニケーション戦略の構築

顧客セグメント分析を通じて、各セグメントが好むコミュニケーションチャネルやコンテンツの種類を把握することができます。これにより、効果的な広告やマーケティングメッセージを配信することが可能となります。

リソースの効率的な配分

チャネルミックス戦略を立案する際には、限られたリソースを効率的に配分する必要があります。顧客セグメント分析によって、どのセグメントが最も利益をもたらすか、どのセグメントにリソースを集中するかを明確にすることができます。

競争力の向上

競合他社との競争が激しい市場では、顧客セグメント分析を通じて、競合他社がどのようなチャネルを活用しているか、どのセグメントに焦点を当てているかを把握することが重要です。これにより、自社の競争力を向上させるための戦略を策定することができます。

以上のように、顧客セグメント分析はチャネルミックス戦略を立案する上で欠かせない要素です。顧客のニーズや市場の動向を正確に把握し、それに基づいて戦略を構築することが成功の鍵となります。

関連記事:【CRM_vol.2】顧客セグメントはDI+RFM+Aが成功のカギ

ポイント

CRMの効果を最大限活かせるか否かの分かれ道は、ココがポイント!

①どの媒体を使って、どのように伝えるのか。

②それをすべてのお客様に送ってよいのか。

③特定のお客様に送った方がよいのか。


まとめ

タイミングアプローチに長けているWEB(メルマガ)と、到達率・開封率が高く、紙面の自由度が高い紙。そこに丁寧かつ詳細の情報を会話で展開できる電話や、顧客体験を創出できるリアル店舗展開などでチャネルミックスすると、CRMの効果が最大限に発揮できます。


プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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