【CRM_vol.2】顧客セグメントはDI+RFM+Aが成功のカギ

今回は「顧客セグメント」をテーマにお送りします。CRM戦略を考える上で欠かせないものですが、セグメントしているが効果が出ないというお悩みや、セグメント方法やCRM戦略への活用方法がわからないというお声も耳にします。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、CRMの効果を高める顧客情報のセグメント方法についてご紹介します。

RFM分析だけでは不十分

端本:すべての顧客に同じ施策を打つのは非効率的で費用対効果もよくありません。ターゲットに合わせた施策を立案するために、顧客セグメントが重要になるわけですが、なかなかうまくいかないという通販企業様もいらっしゃいます。

A氏:CRM戦略はOne to Oneマーケティングが基本ですから、これを実践するためには顧客情報の分析・セグメントが必須となります。
しかし、「セグメントしているがCRMの効果が上がらない」「CRMを設計する上で、どうセグメントすればいいか分からない」というご相談が多くあります。また、「メルマガなどCRM施策でオプトアウト(配信停止)が増えて、アプローチできる顧客が増えない」とお声もあがっています。

S氏:CRMの効果が出ないというのは、セグメントの方法に問題があるからですか?

A氏:いくつか手法がある中でよく用いられるのが「RFM(アールエフエム)分析」です


R:Recency(リセンシー:最終購入日から現在までの経過日数)

F:Frequency(フリークエンシー:累計購入回数)

M:Monetary(マネタリー:累計購入金額)


それぞれの頭文字をとったもので、顧客の消費行動の状況、度合を表します。この3つの指標で顧客を分析し、ランク分けをしていきます。

このRFM分析も必要ではあるのですが、ただ、戦略的観点からいうと「どのような顧客がどのような悩みを持っていて、どの商品を購入したのか」の消費行動を促す起因要素が不足しています。
それ故に、RFMだけの区切りで情報発信すると、顧客が欲しい情報やキャンペーンが届かず、別の情報が送られてミスマッチの確率が高まることになります。


お悩みのセグメント(DI)で確度アップ

A氏:顧客にマッチした情報を送るためには、RFMのセグメントに「DI(ディーアイ)」を加えて考える必要があると思います。


DIとは、
●Demographic(デモグラフィック:顧客プロファイル、顧客特性)

●Item(アイテム:購入商品)
の頭文字をとったものです。


一番簡単な例をあげると、「年齢」「性別」「過去購入した商品」と、この3点から推測される悩みをセグメントします。

S氏:DI+RFMで成功した事例が、ブログ第1回でお話しされていたオールインワン美容液の訴求ですね。年代別にお悩みのニキビとシミに分けたところレスポンス率が30%以上向上しました。

A氏:あと、これは失敗例ですが、ある主力商品がダイエットサプリのメーカーでは、購入者のボリュームゾーンが40~50代の女性だったため、髪の悩みが顕在化している、もしくは潜在層であるという仮説のもと、40代以上の女性に女性用育毛剤のキャンペーンを打ったところ、大失敗に終わりました。髪のお悩みに対して、顧客がその企業(ブランド)・商品を購入するための説得材料がなかったのです。
しかし、その後に「豊富な食物繊維によるダイエットサポート」とダイエットを謳った青汁のキャンペーンは成功しました。
ここから言えることは、年齢や性別だけで顧客の悩みは正確に読み取れず、過去の購入商品をセグメントに入れることで、施策の確度は上がると考えられます。

S氏:「年齢」「性別」「過去購入した商品」から、顧客のお悩みを推測するのは難しいのではないですか。

A氏:自社で推測すると、どうしても自分たちが売りたい商品を考えてしまいがちです。誰がやっても推測ではあるのですが、セグメントした上で、「売れる商品」を導き出すことが必要ですから、経験値が豊富な第三者に相談するとよいと思います。


顧客数が多い場合のセグメント

S氏:その他のセグメント方法はありますか?

A氏:顧客数が多くセグメントをもっと細分化できるのであれば、その顧客を獲得した広告媒体(Advertisement:アドバタイズメント)でセグメントすることをおすすめします。
WEBかWEB以外なのか、WEBでも有力なキュレーションサイトでの記事広告なのか、訴求が強めのアフィリエイト記事広告なのか。WEB以外であれば、情報量が多いインフォマーシャルなどのTV広告なのか、新聞、チラシ、雑誌なのか。

広告媒体別でセグメントを切った方がよい理由は簡単で、メディアによって顧客特性が異なればリピート率も異なるためです。
そのメディアに対する帰属性やロイヤリティが高く、商品に関する情報量が十分にあり説明が忠実になされていれば、そこで獲得した顧客はリピート率が高くなります。

これとは反対に、衝動買いを促すような、購入金額に応じてもらえるポイントやビフォー・アフターなどの強い訴求を用いた記事で獲得した顧客はリピート率が低くなる確率が高い。
逆を言えば、強いオファーやキャンペーンを用いれば購入する可能性が高いと言えるため、CRMの戦略を考える上でそこを見極めることもポイントの一つと言えます


RFM分析で顧客をランク分け

S氏:DIやAを加えるにせよ、RFM分析は顧客セグメントのベースとなると思います。RFMを行うメリットなどを教えてください。

A氏:では、以下にRFMの概要を説明します。

RFM分析の目的

顧客を理解し分類することで、ランクごとに合わせた効率的な施策が可能となり、LTV(1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益)の最大化へつなげる。

RFM分析を行うメリット

① 顧客の状態を可視化することで、今後の戦略・プランが立てやすくなる。
② ランク分けすることにより、ランクごとに適した施策を行うことができる。
③ 
効率的に施策を行うことができ、対費用効果の向上も見込まれる

ランク分け

R、F(購入回数)、M(購入金額)の3つの指標で顧客をランク分けする。
これによりR(最終購入日)が半年以内の顧客、F(購入回数)が3回以上の顧客、M(購入金額)が1万円以上の顧客などでセグメントできる。
そのスコアによって、優良顧客、継続顧客、新規顧客、休眠顧客、離反顧客というランク分けができる。


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RFM分析からCRM戦略を立てる

A氏:顧客をランク分けしたら、それぞれに適したCRM施策を考えます。代表的なものとしては、以下の通りです。

優良顧客

VIP会員制度などでお得意様限定のご案内やキャンペーンなどで特別感を演出し、良好な関係を継続させる。また、アンバサダーとなってもらい顧客の視点での商品に関するリアルな情報を会員に発信してもらう役割を担ってもらうことで、ブランドとの関わり方を深めてもらう。

継続顧客

コストをかけてでも優良化したい顧客のため、顧客ごとのお悩みに合わせた情報発信や商品紹介、フォローコール、フォローメールを駆使して継続促進と合わせてクロスセルを狙う。また、ポイントや段階割引制度を用いて、使用すれば使用するほどお得になる仕組みで離反させない。

新規顧客

競合他社への流出を防ぐため、購入後3カ月ほどはこまめにアプローチする。
最初の3カ月の中で変化する顧客の心理や直面する問題を仮説立てしながら、商品理解、使い方、いつどのような効果を得られるのか、実感した会員はどのように使っているのか、よくあるQAなどの情報を発信して、こまかく丁寧にフォローする。お試し購入なら本品引き上げ、本品購入なら継続や定期引き上げを目指す。

休眠顧客

低コストでできるメルマガやハガキ、SMSを使ってセール案内などで関心を引き戻す。また、コールセンターによるアウトバウンドで、顧客がなぜ商品の購入をやめたのかをお聞きした上で、その課題解決策のご案内と共にこのお電話だけの割引などの特典と組み合わせることで、直接的なアプローチで購入を促す。

離反顧客

引き戻せる可能性が低いため施策を打つかどうかを検討する。

S氏:休眠顧客が復活し、新規が継続に、継続が優良顧客にステップアップしていく形が理想的です。しかし、売上が見込まれる継続顧客や優良顧客への施策に重点を置き、コストをかける企業が多いのではないですか。

A氏:どこに重点を置きコストをかけるのかは各企業の判断になると思います。ただ、新規を獲れている好調な時は、その顧客を継続させ、優良顧客に育てるところまで目がいきません。獲れなくなってから離脱者の多さに気づいてCRMを考えるというところも少なくありません。
忘れてはいけないのは、ピークが続くことは稀であること。ですから、新規が獲れていても、休眠顧客や離脱者の復活にも注力すべきでしょう。

成功事例に共通するEC(通信販売)におけるCRM活用のコツ

ECにおけるCRM(顧客関係管理)活用の成功事例には、以下のような共通するコツがあります。

顧客セグメンテーション

顧客を特定のセグメントに分けて分析し、それに基づいた戦略を立てます。顧客の行動や購買履歴に基づいてセグメントを作成し、ターゲットに合ったメッセージを送ることで、より効果的なコミュニケーションが可能となります。

パーソナライゼーション

CRMを活用して、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた体験を提供することが重要です。顧客の好みや興味を把握し、それに基づいて商品やサービスの推薦、特典の提供などを行うことで、顧客の満足度とロイヤルティを向上させることができます。

マルチチャネル対応

成功したECは、顧客がさまざまなチャネルを通じて接触する可能性を考慮しています。オンラインストア、メール、SNS、アプリなど、顧客の好みに合わせた複数のチャネルを活用してコミュニケーションを行い、顧客との接点を増やします。

購買行動の分析

CRMを活用して顧客の購買行動を分析し、傾向やパターンを把握することが重要です。これにより、顧客のニーズや動向を把握し、タイミングやコンテンツの最適化に役立てることができます。

フォローアップとリマーケティング

顧客との関係を継続的にサポートします。購入後のフォローアップメールやリマーケティング広告を活用して、顧客とのコミュニケーションを継続し、リピート購買の促進やブランドの定着を図ります。

関連記事:クロスセル成功のためのクリエイティブのコツ

顧客フィードバックの活用

CRMを活用して顧客からのフィードバックを収集し、商品やサービスの改善に反映させることが重要です。顧客の声に耳を傾け、改善を行うことで顧客満足度を高め、リピート率を向上させます。

これらのコツを活用して、顧客との関係を強化し、ECビジネスの成長と成功につなげることができるでしょう。


検証をして「面」で捉える

S氏:RFM分析は1回やれば終わりということではありませんね。

A氏:RFM分析は四半期に1回、少なくとも半期に1回同じ条件で定点観測を行い、各ランクやセルごとの比率がイメージ通り変化しているのか否かを検証する必要があります。
実施しているCRMの施策がうまくはまっていれば、当然ながら上位のランクもしくは、高RFのセルの比率が高くなりますし、逆もしかりです。
まさに、RFM分析をするメリットはこの部分にあり、実施した施策のレスポンス率がどうだったとか、かけたコストに対してどれくらいの売上と利益が得られたという「点」の検証だけでなく、CRM全体を通して顧客会員のブランド内における消費行動の健康診断を俯瞰して「面」で捉えることができ、RとFとMという3つの軸で課題を抽出し的確な対策を見出せることにあります。


ポイント

RFMだけではCRMの効果が出にくい。

「DI+RFM+A」で考えることが重要。

会員数が少なく、多くのセグメントが切れない場合は、
DI⇒RFM⇒Aの順で考えるとよい。
CRM施策を行ったら結果を定期的に分析し、
点だけでなく「面」で捉え、
常に改善していくことで効果を高めることにつながる。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​


プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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