【会報誌_vol.2】「会報誌で購入に繋げられない」見落としがちな原因は…

第19回は購入率アップに導く会報誌の組み立て方」をテーマにお送りします。通販企業様から、「会報誌を改善するために何をすれば良いか」「開封率や閲読率を上げて、購入に繋げたい」というご相談を多数いただきます。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、会報誌を改善するうえでの考え方をご紹介します。

会報誌の改善は現状把握から

S氏:会報誌を導入したものの、目的に即した内容になっているか検証できていない企業も見受けられます。コストや時間がかかるものなので後回しになってしまうのも理解できますが、内容をブラッシュアップしていかなければ、せっかくの会報誌も効果を十分に発揮できません。

A氏:そうですね。検証ができていないという中には、どんなふうに会報誌を検証・改善していけば、開封率や閲読率、購入率アップに繋がるのか分からないという企業も多いのではないでしょうか。前回、会報誌の送付においてゴールやKPI*1の設定が大切だとお話ししましたが、まずはそれらを明確にすることです。そのうえで、自社の会報誌に対して「顧客がどう感じているのか」「競合他社と比較してどうか」など、現状を把握する必要があります。そこで問題点を洗い出すことができれば、自ずと解決策が見えてくるはずです。

S氏:現状把握のため、独自に検証している企業もありますが、立てた仮説が的外れなものになっているところも散見されます。他に大きな要因があるにもかかわらず、思い込みのまま修正を重ね、目的からズレた内容になってしまった、ということも珍しくありません。

A氏:現状を正しく把握するためには客観的な視点を持つことが大切ですね。今回から会報誌の改善の仕方について、前半・後半に分けてご紹介します。前半はどういうふうに会報誌を検証し、課題を設定するのか、具体的な手順をみていきましょう。

*1:Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインジケータ)の略で、重要業績評価指標と訳される。KGI(Key Goal Indicator)という最終目標を達成するための具体的な指標。


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データの集積による課題設定

STEP1  現状の会報誌を把握する
現会報誌に対して、顧客はどう感じているのか、競合他社と比較してどうかなどを調査し、現状を把握していきます。手段としては主に以下の2つが挙げられます。

(1)顧客へのアンケート実施
「現会報誌の内容や頻度、デザインに関する評価」「よく読んでいるコンテンツと読んでいないコンテンツは?」「追加してほしいコンテンツ」などの質問事項を設けたアンケートを実施します。

(2)競合他社と比較
下記について競合他社のデータを収集し、自社のものと比較します。
ページ数
掲載商品点数
コンテンツ(目次)
会報誌と一緒に同梱されているツールの種類・点数
到着日
送付対象者


STEP2  課題を設定し、改善策を考える
顧客へのアンケートから見えた課題と競合比較から推測される仮説を元に、会報誌の方向性や改善策を練っていきます。

【会報誌の方向性や改善策 その1】

〈現状〉
他社と比較すると、ページ数に対して商品紹介ページの比率が多い


〈仮説〉
購入した商品以外に興味のない顧客にとっては会報誌の意味をなさない。読み物やコラムを増やすなど読者を引き込む工夫が足りないのではないか。


〈対策〉
商品紹介ページと記事のバランスの調整を行い、会報誌の役割を再確認する。会報誌で商品を売ることが第一の目的なら、季節のお悩みや社会状況と絡めて商品を紹介するなど顧客の興味を惹くような工夫をする。


【会報誌の方向性や改善策 その2】

〈現状〉
他社と比較して連載コンテンツが少なく、アンケートの結果から考えると、現状のコンテンツも顧客から好感を持たれていない

〈仮説〉
「このコンテンツの続きが読みたいから、次回の会報誌も手に入れたい」といった、連載記事による閲読の固定化ができていないのではないか。また、顧客が欲しい情報と実状がマッチしていないのではないか


〈対策〉
顧客が読みたい、追加してほしいと思うコンテンツを増やす。また、連載記事などで商品の継続化のサポートをする。

tep3〜5については次号でご紹介したいと思います。


まとめ

●開封率や閲読率、購入率アップに繋げるためには、実際に改善を行う前にしっかりとした現状を把握することが大切です。

●顧客へのアンケート実施や競合他社と自社の会報誌を比較し、収集したデータから類推される仮説を立てて対策を練るのが重要です。
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プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。


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