【商品同梱_Vol.7】売上アップに効果的なツールとは?
第22回は「売上アップに効果的なツールとは?」をテーマに「コンセプトブックについてお送りします。通販企業様から、「キャンペーンの効果が薄れてきたように感じる」「何とかして売上を伸ばしたい」というご相談をよくいただきます。
CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、直接購入に繋がるツール以外を売上アップに役立てる方法をご紹介します。
目次
キャンペーンの効果が続かない理由
S氏:多くの通販企業では定期誘導やアップセル、クロスセルを狙ったキャンペーンを実施しています。しかし、何度も行ううちにキャンペーン自体の効果が薄れ、通常価格では商品を購入しない顧客が増えるなど、苦慮されているところも少なくありません。
A氏:キャンペーンを多用してしまうのは、直接的な商品購入の場だけが売上を作るという考えにとらわれているからではないでしょうか。実のところ、顧客が購入に至るまでには様々な心理が働いており、商品への理解・納得を促し、好きになってもらう施策も併せて行わなければ、売上を上げるのは難しいと考えます。
S氏:商品購入時のみキャンペーンなどの施策を投じても、その場凌ぎにしかならず、売上の向上効果が長続きしない。だから、顧客が商品を認知してから購入までに発生するステップを考慮したうえで、戦略を練らなければいけないということですね。
A氏:顧客との関係性を深めながらどのように購入意欲を上げていくのか、つまり売上アップには、顧客の購買サイクルを意識した戦略が必要です。では、次から顧客の購買サイクルについて解説していきます。
購買サイクルに合わせた戦略設計
顧客が購入に至るまでには以下の6つのプロセスがあり、これらはループするため、購買サイクルと呼んでいます。
① 【認知】:商品を認知する
↓
② 【理解】:どんなブランド、または商品かを理解する
↓
③ 【好意】:このブランド、または商品を好きだと思う
↓
④ 【選「好」】:このブランド、または商品でないと嫌だと思う
↓
⑤ 【購買意向】:このブランド、または商品を買おうと思う
↓
⑥ 【購入】:実際に商品を購入する
購入後、実際に商品を使ってもらうことで、より一層ブランド・商品への理解が進み、②〜④のサイクルは深化していきます。顧客との最大接点である購入の機会を利用して、②〜④の深化をさらに促進できれば、再購入に至り購入単価が上がるので、結果的に売上を伸ばすことが可能になります。
好意獲得にコンセプトブックを活用
コンセプトブックとは、どのような考え方で商品やシリーズを作ったのかをじっくりと説明するツールです。オファーなどの掲載はなく、売り込み感はないものの、商品への理解促進や好意を抱かせるためには有効です。
例えば、スキンケアシリーズのフロントアイテムを顧客が何回か購入・使用した後でコンセプトブックを送ることにより、シリーズ全体、さらにはブランドへの理解が深まります。そこで好意獲得が進めば、フロントアイテムの継続率・購入頻度アップだけでなく、同シリーズの他のアイテムとの併用、別シリーズの購入にも繋がり、売上が増加するというわけです。
成功のカギは送付タイミング
コンセプトブックのような売り込み感のないツールを売上アップに役立てるためには、届けるタイミングも大切です。
では、どんなタイミングで送付すれば、効果的なのか。実際に会報誌に対する売上の向上効果を測定するため、下記A〜Eの5つのルートで送付リストを分けて比較検証を行いました。
【検証結果①】
会報誌とコンセプトブックを同送しても、会報誌自体のレスポンス率は上がりませんでした。また、会報誌のみ発送した場合のルートA・Bの合算レスポンス率と、コンセプトブックを同封して発送した場合のルートDのレスポンス率を比較したところ、大きな差は見られませんでした。
【検証結果②】
さらに、下記の3パターンで比較検証を行いました。
・商品にコンセプトブックを同梱するルートA 対 同梱しないルートB
・商品にコンセプトブックを同梱するルートA 対 会報誌に同封するルートD
・会報誌にコンセプトブックを同封しないルートC 対 会報誌に同封するルートE
結果、商品に同梱するルートAのみに効果が見られ、ARPU*1が他のルートと比べて2,000円向上することが分かりました。つまり、商品を何度もリピートしてもらった後でコンセプトブックを送る方が興味・関心・理解が進み、次の購買へと繋げやすいと言えます。
初回同梱など、顧客がまだ商品を気に入っていないタイミングでコンセプトブックを送付しても売上には繋がりにくいということです。
また、コンセプトブックによる売上の向上効果は入れてから4カ月までで、その後動きがないことも明らかになりました。
よって、4カ月後に改めてコンセプトブックを同梱するなど、顧客の購買サイクルを刺激する他のツールを継続的に入れていけば、さらに底上げができると考えられます。
*1:ARPU:Average Revenue Per User(アベレージレベニューパーユーザー)の頭文字を取ったもの。1ユーザーあたりの平均的売上を示す指標。
まとめ
キャンペーンなど直接購入に繋がるものだけに注力するのではなく、顧客の購買サイクルを意識した全体設計が重要。
コンセプトブックなどのツールは商品同梱などの効果的なタイミングで発送し、顧客の商品への理解・好意を深めることで売上の向上を図る。
筆者プロフィール
A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。
S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。
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