アップセル成功のためのクリエイティブのコツVol.1

すぐに真似できるアップセルのコツ３選

第25回は「すぐに真似できるアップセルのコツ３選」をテーマにお送りします。通販企業様から、「アップセルのための策が尽きた」「いくら割引きをしても、頭打ちになってしまう」というご相談を多数いただきます。

CRMの現場から、通販ディレクターA氏とデザイン制作会社のS氏と共に、アップセルを成功させるための施策をご紹介します。

まとめ買いする顧客の心理を推察

A氏：前々回、前回はクロスセルを成功させるための施策をご紹介しましたが、今回はアップセルの確度を上げる方法についてお話しします。多くの通販企業では、既にアップセルのための施策を行っていることでしょう。しかし、そのほとんどがキャンペーンチラシでまとめ買いの割引率や特典を変えるだけになってしまっているのが気になります。

S氏：消費者として買い物する際、誰でも一度はまとめ買いをしたことがあると思いますが、その時どんな気持ちだったのかを考えると、アップセル成功のための得策が自ずと分かるはずです。

A氏：顧客がまとめ買いをする心理として、まず商品に対して「満足している」「期待している」という前提があり、次に「今後も使いたいと思っている」「継続が必要だと分かっている」ことが挙げられます。これらの条件が揃ってはじめてオファーの「今買うとお得」や特典が購入を後押しし、「満足度・期待感に価格が見合う」「どうせなら安い時に買おう」といった心理になるのです。

S氏：アップセルの企画を立てる際、オファーだけに注力しがちです。どんなにオファーがよくても、ほしいと思われなければ、買っていただけません。アップセルを成功させるためには、商品の満足度・期待感を高め、継続意欲を喚起し、その必要性を認識してもらう必要があります。

アップセル成功に向けた3つの具体策

商品の満足度や期待感を高めたり、継続意欲を喚起したりする方法はさまざまですが、今回はその一部をご紹介します。

①効果、変化に気づきを与える

顧客が悩み、例えばシワへの効果を期待して商品を購入し、しばらく使用してもシワが薄くなったなどの実感を得られなかった場合、「この商品は効果がない」と見限られ、解約・離脱してしまいます。

シワの改善以外にも変化が見られなかったかを使用本数や使用開始後の経過月数別で示し、悩みが徐々に良くなっていると気づきを与えることで、満足度や期待感を高め、解約・離脱を阻止することができます。

キャンペーンチラシなどを作成する際は、使用本数や経過月数を視覚的に表現し、化粧品なら、「肌の部位ごとの変化」「化粧のり」を、健康食品なら、「体調」「トイレの回数」「寝起きの体の軽さ」を写真・イラスト、ユーザーボイスで分かりやすく訴求すると効果的です。複数人のユーザーボイスを組み合わせても構いませんし、「3ヶ月チャレンジ」などと題して一人の顧客の変化を追うのも有効です。

②新たな使用方法、使用部位の提案

顧客が商品を消費するペースはある程度決まっており、これ以上の量は必要ないと思われると、まとめ買いの障壁になります。

新たな使用方法や使用部位を提案し、消費ペースを早めれば、それに比例して商品に対する満足度も上がるので、まとめ買いへ誘導しやすくなります。

例えば、美白美容液を顔全体に浸透させた後、シミやくすみが気になる箇所にもうワンプッシュ塗り込むことを提案するなどです。また汗などで肌がベタつきがちな夏に美容液の使用量が減る場合は、「冷蔵庫で冷やして使うとひんやりして気持ち良い」と紹介することで消費ペースが落ちるのを予防できます。

使用部位の場合、「顔はもちろん、年齢が出やすい首やデコルテに塗るのもおすすめ」と提案するのも手でしょう。

③お買い得感の表現方法

オファーにかかるコピーも重要です。単に、まとめ買いするといくらお得と謳うよりも「１個あたり●●●●円お得」「5本買うと1本分実質無料」「4本買うと1本無料でついてくる」などの方がフレーズとして強く、特に「無料」という言葉は多くの顧客を惹きつけます。また、3個セットを購入してほしい場合、割引率の低い２個セットや高価格の5個セットと並べて掲載することで、３個セットへ誘導しやすくなります。

 

次回は、商品を使い始めてまだ効果は感じていないものの、期待感を持っている顧客に対してどのようにアプローチするのか、その方法をご紹介します。

まとめ

アップセルを成功させるためには、オファーに注力するばかりでなく、まず商品の満足度・期待感を高めて、継続意欲を喚起することが重要。

そのために、本来の効果以外の変化がなかったか気づきを与えたり、新たな使用方法・箇所を提案し消費ペースを早めたり、お買い得感の表現方法を見直すなどの工夫が必須となる。

筆者プロフィール

A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。

S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。

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